第116章 佐助、安土武将と語る
信長の言葉に、他の武将達ははっとして天井を見る。
すると、かたんと音がし、天井板の一画が外れ、政宗はさっと立ち上がり抜刀の姿勢を取る。
それを見て信長は政宗に言った。
「政宗、抜刀は必要ない。上の居るものは、舞たちの行方を知るものであろう?」
「さすが織田信長様ですね」
天井から声がし、ひらりと上から音も無く降りてきたのは、忍び姿の佐助だった。
「おまえ、確か…!」
秀吉が驚いて佐助の顔を見て言う。
「ええ、俺は上杉謙信様の軒猿、猿飛佐助と言います」
「謙信がかどわかしたのか?二人を?」
政宗が鋭く言うが、佐助は頭を左右に振った。
「違います、謙信様は一切関係ありません。二人の事をお話しに来ました。
舞さん達に伝えるのが間に合いませんでした」
「…どういう事だ?」
秀吉が眉をひそめて問う。
「とにかく全員その場で座れ。佐助とやらもその場で座って話せ」
信長は脇息に片肘をのせ、その乗せた片腕で頬を支えて言った。
「娘二人、どこへ行ったのか貴様は知っている口振りだな。
どこへ行ったのか話すが良い」