第114章 事実
「あれがここに来て間もない頃、夜伽に来いと言ったところ嫌だと拒否された事があってな、その時に500年後の世界から来たと舞が話していたのだ」
「そ…そうでしたか…」
舞も舞だが、信長も信長だ。
そんな事を知りながら、右腕なはずの秀吉にも教えず、一人自分の胸に仕舞いこんでいたのだから。
秀吉は少し恨めし気な眼差しで信長を見、信長はその秀吉の表情に気付き言った。
「秀吉、俺と舞の間で他の者に言わぬと約束をしたのだ。
おまえに言わなかったのは当然であろう?」
「はっ…そういう訳では…しかし教えてくださっても良かったのでは…」
「まぁまぁ、信長様と舞の間の密約なのだから仕方ないだろう?」
政宗が間に入り、秀吉を説得し、秀吉もその言に仕方ないか、と諦める。
「竹、とやら」
信長が竹に問う。
「は、はい」
「舞と葉月の他に未来から来たものは居ないのか?
貴様は他に何か知っておるか?」
「い、いえ…わたくしは他の人がいるのかどうかは存じません」
信長に問われ、事実を述べた竹に、信長は息を吐き、そして、天井を見上げて言った。
「この上に居る者、下りて参れ」