第114章 事実
「竹、と言ったな、それは真(まこと)か?」
上段に座り脇息によりかかった信長の言葉が響く。
「はい、さようでございます」
信長の前に、さすがの竹も緊張した声で答える。
「舞だけでなく、葉月も未来から来た者だったとはなぁ」
横に座る政宗がため息交じりに言った。
秀吉と竹が信長の前で消えた二人の事を話し、葉月が500年後の世から来た娘だという事を伝えたところ、反対に信長から舞も500年後の世から来た娘だと言われ、全員で驚いたところだった。
「この分だと安土の他の町娘にも、未来から来た娘が混じっているかもしれぬな」
光秀が言うと、秀吉がぎろりと睨む。
「冗談にならないから止めろ、光秀」
「とにかく」
黙っていると秀吉が光秀にかみついたままになるのを、信長の声が制す。
「家康と三成には戻ってくるまで言うな。二人は今やるべき事に集中させる」
「はっ」
全員で信長に向かって頭を下げる。
「それにしても信長様、いつ舞から、未来から来たとお聞きになられたのですか?」
秀吉は信長に問うと、信長はニヤリとして言った。