第113章 どこへ行った?
わからないのは富弥だけだ。
春達は富弥に説明すると、富弥は嘘だろ、と言わんばかりの表情をした。
「葉月が遠い先の時代から来たおんな…」
「私のあくまで予想なのですが」
春は先程見た、二人の様子を思い出して、三人に言った。
「舞様も葉月と同じ時代から来たかたではないでしょうか?」
「舞が、か…!?」
秀吉が唸る。
「いや、それは有りえ…いや、待て。やはり、それは有りうる事かもしれんな」
秀吉は顎を片手の人差し指と親指で摘まむと、考える様子を見せた。
「舞が俺達の前に姿を現した時から、城になじむまでの事を考えると、確かにあやふやなところが多い…遠い先の世から来た者とすれば納得出来るな…」
「それより、その二人は元の時代に戻ってしまったって事ですか?
もう二人はここに戻れないのですか?」
富弥が問う。
それが一番全員が知りたい事。
でもその答えはこの四人では、出す事が出来ない。
「葉月が持ってきていた荷物は見せてもらったな。
そうしたら、舞が持ってきた荷物を見せてもらえば何かわかるかもしれない」
秀吉の発言に他の者も納得するが、舞の身分は織田家ゆかりの姫君。
竹の身分ではそうそう城へ参る事はないが、女人の持ち物を見るという事で、秀吉は竹を連れて城へ行く事にする。
信長達に説明し、竹が舞の荷物を見れば、とりあえず問題なかろう。
「わかった事があったら、後で春ちゃんと富弥殿に説明するわね」
竹はきちんと言って、秀吉とそのまま安土城へ足を運んだ。