第110章 衝撃
「葉月さん、隠れるよ!」
「え、どういう…ちょっと…」
舞に手を引かれ、店の中に葉月と入り、奥へ進んだ。
「あの雲は…」
ごくりと唾を飲みこんで、舞は言った。
「ワームホールの雲だよ」
「わーむほーる?」
「知らない?未来と過去をつなぐ雲。
あの雲に捕まって、私と佐助くんはここに来たの」
「私もそういえば、晴れていたのに急に雨が降ってきたんですよね…
え、ここでそれが発生したって事は、もしかして…私達を戻しに、来た…と、か…?」
「そうとしか思えないよ。とにかく店の奥で隠れていよう」
富弥がいぶかしげな表情をして、店の奥で隠れるように座り込む二人を見るが、春は葉月の素性を知っているので、二人の表情に何かあるのか、と見てとった。
「うわっ、いきなりすげぇ雨だな」
急激に大雨が降り出し、富弥はずぶぬれになって外の物を慌てて片付け終える。
ごうごうと聞いた事のない爆音が外からする。
「春さん…すみません、雨が止むまでここにいさせて…」
葉月と舞の表情の無い顔を見て、春は舞も未来から来た娘なのかも、と気付くがその瞬間、雷が店に直撃したようでドカン、と、体験した事が無いような音が四人を襲った。