第104章 つわり
しばらくして、つわりが本格的に始まり、葉月は食べ物を受け付けなくなった。
「葉月さん、食べないと」
粥を三成が運ぶ。
「匂いが嫌。気持ち悪い。持ってこないでー」
と口にしない。
果物や甘味なら少しは口にするが、ひとくちで、もう要らない。
三成は竹に相談する。
「この時期は仕方ないのです」
案外そっけないのが、三成には理解が出来ない。
「でも何も食べなかったら死んでしまいます」
三成は竹に言うが、竹は穏やかに微笑む。
「しばらくすれば落ち着きますから大丈夫ですよ」
「ですが…ですが…」
三成は心配でならず、一人でおろおろしている。
「家康様に頼んで何か薬を調合していただきましょう」
家康の御殿に足を運ぶ三成だが、家康にはきつい一言を言われただけだった。
「妊婦に薬なんて要らない、むしろ飲ませちゃ駄目でしょ、バカなの?」
三成は戸惑うばかりだった。