第101章 変化の始まり
「そ、そうですか?可愛らしくて、こんな色着た事ないから、着る自信がないです」
「大丈夫ですよ、これなら三成様も似合うとおっしゃってくださいますよ」
竹の言葉に目を見張り、葉月は照れながら言う。
「そう、ですかねぇ…三成様、似合うって言ってくれるかな…それなら、これにしようかな…この素材なら普段も着られるし…」
三成に似合うと言ってもらえるかどうかを気にする葉月の姿に、未来から来たと言っても娘は娘なのね、と竹は思うのだった。
「さ、他にも選んでくださいね。一反では足りませんよ?」
「えっ、着替えは一枚有れば十分ですけれど…」
「三成様へ輿入れした後の事も考えて、秀吉様から気に入るだけ買うように言われてます」
「えええ、そんなに、ですか?」
葉月は驚き、そんなに秀吉に買ってもらって良いものか、どうやって秀吉に御礼をすれば良いのか考えてしまった。
「竹様、そうしたら、秀吉様にどう御礼をすれば良いのでしょう」
「簡単ですよ。秀吉様に言葉で御礼を伝えれば良いのです。
貴女は養女になるのですから、豊臣家として石田家へ失礼のない支度が必要です
だからこれらの反物も着物にあつらえ、普段着として持って行く事になります。
…ああ、どうしても秀吉様へ御礼を、と言うのであれば、早く三成様との間にややこを設ける事ですね」
「…ややこってもしかしたらこどもの事ですか?」
「そうですよ。でもお二人の仲なら、すぐ出来そうですね」
竹ににっこり微笑まれ、瞬間、もしかしたら蜜事が全て筒抜けなのか、と葉月の顔は真っ赤になった。