第101章 変化の始まり
「あ、全然気にしないほうです。未来にいても基本的にユニクロでしたし」
「ゆにくろ?」
聞いた事のない言葉が出てきて、竹は聞き返す。
「ああ…っと、何でもないです、安くて丈夫な商品の服を着ていました」
葉月は慌てて言い直した。
そして二人は市へ到着し、竹は葉月を反物を扱っている店へ連れて行く。
「さ、気に入った反物、選んでください」
「こんなにたくさんの中から選ぶんですね、大変だなぁ」
他人事のように葉月は言って、端から反物を見始めた。
竹はふと気付く。
いろいろ見てはいるものの、葉月が選ぶ反物はどれも紫色が基調のものだ。
ごく淡い藤色から濃色まで色は千差万別だが、元は紫。
三成の瞳は紫。
自分では気づかないけれど、愛する人の色を選んでいるのかしら?
「葉月さん、こんな色はどうかしら?」
淡い桃色は桜を思わせる、そんな桜色の反物を見付けて、竹は葉月に合わせてみる。
いつもの小袖よりおんならしい雰囲気があり、ほのぼのとした優しい色気を感じさせる色味に、竹は似合っていると思う。
「この色は葉月さんに似合うわね」