第100章 御殿で手伝う
秀吉の御殿に戻った葉月は、まず女中達と一緒に掃除を行う。
たすき掛けもすっかり板につき、廊下を雑巾がけしていく。
窓で覆われている訳でもない廊下は、風がちょっと強ければ埃や細かい砂まみれだ。
昨晩の雨のせいかいつもより汚れは少ないが、それでもやっぱり雑巾は汚れる。
雑巾をゆすいではまた拭いて、を繰り返し、廊下を綺麗にしていくのは気持ち良い。
葉月は丁寧に雑巾で廊下を拭き、頼まれた場所を終えると、竹の元へ行き、次はどこを掃除すれば良いのか指示を仰ぐ。
「それでは、台所で調理を手伝ってください」
竹から何か作って欲しい、と暗に言われる。
葉月は返事をし、桶と雑巾を片付けて台所へ行った。
台所番に声を掛け、手伝うと言うと他の女中から、ネギを洗うよう頼まれる。
「はい、洗いますね」
ネギの山の横に座り、水を張った桶にネギを一本ずつ入れ、丁寧に洗っていく。
大量のネギを洗い終え、それを女中に引き渡すと、料理に入る。
使って良いのは山芋と言われ、葉月は首を傾げて考える。
『山芋はそのまま切って食べられるよね?どうしようかなぁ…』
ちょっと考えてから包丁を借り、山芋の皮をむいて、食べやすい大きさに切り、酢水に漬けて色の変化を止める。
他の女中が興味津々で、何を作ってますか、と聞いてくる。