第13章 お遣い
「先程の子は、主である三成様に憧れてるんですよ。
それで年頃の若い娘が来ると、ついつっけんどんな対応をしてしまうんでしょうね」
「…はあ…あこがれ…」
更に目をパチパチさせて、頭を働かせる。
『ああ、恋愛におけるライバル意識ってやつね…』
ようやく意味を理解した。
「別に私は関係ないんですけどねぇ」
あはは、と笑い、そして、歩みを進める二人だった。
しばらく歩いて、女中に頼んでみる。
「あのー、もし、行っても良いなら、寄りたいところがあるんですけど」
「…どこ、ですか?」
女中は、警戒心を強める。
「私が騒ぎを作った、お茶屋のおばさんのからだが大丈夫か気になってるんです。
おばさん、武士の人に突き飛ばされてたから、腰や足を怪我してないかなって」
「…そうですか…でも、貴女の外出行動については秀吉様に伺わないとならないので、秀吉様に許可をいただいてからにしてください」
「そうですか…そう、ですよね…」
女中からぴしりと突っ放され、自分の怪しまれている立場を再度知る…