第13章 お遣い
その若い女中は、葉月を一瞥して、冷たい声で問うてきた。
その言い方に葉月は少し驚きはしたものの、平静を保ち、持っていた風呂敷包みを解き、本を取り出しおんなに渡す。
「三成様が、秀吉様のところにお忘れになった本です。
お渡しください」
「…かしこまりました。確かにお預かりいたしました。
わざわざありがとうございました」
きつい言い方が少しやわらぎ、丁寧に頭を下げる女中に、葉月もぺこりと頭を下げる。
「では失礼します」
三成の御殿を出てから、付き添いの女中に言う。
「あの、今、対応されたかた、随分不機嫌そうに思えたのですけど、私の対応の仕方がどこか悪かったですか?」
恐る恐る付き添いの女中に問う。
「…いえ、特に問題ございませんよ」
さらりと答えが帰ってきたが、何が問題だったのか、やっぱりわからない。
「…はあ、そうですか…」
しょぼくれた体の葉月に、少し笑みを含ませて、付き添いの女中は教えてくれた。
「どこの女中が行っても、あの子はきっとあんな態度ですよ」
「…は?」
目を瞬かせて女中を見る。