第95章 三人の現代人
それから、そこそこの長身に忍び装束が似合ってもいた。
「やぁ、舞さん、早かったね。その人が葉月さん?」
葉月は自分の名前を呼ばれて驚き、確か舞が佐助と呼んでいたな、と慌てて頭を下げた。
「えっと、佐助様、初めまして、上杉葉月と言います」
「いや、様付けしなくて良いよ。俺、そんなにエライ人じゃないし」
少し慌てた様子で佐助様、と呼ばれた事を否定する佐助に、葉月はじゃあ佐助さんとお呼びします、と素直に答える。
「…でも葉月さん、名字が上杉なんだ…謙信様と何か接点、あるの?」
上杉謙信の名前がここでも出てきた。
「…は?え…接点?いえ、何も無いです。この名字のせいでむしろ怪しまれました」
「怪しまれた?」
「はい、上杉は安土では口に出して良い名字では無いのを知らなくて、秀吉様に名乗ってしまい怪しまれました。牢に入れられるところ、秀吉様が気の毒に思って御殿に引き取って下さり、今は秀吉様の御殿でお世話になってます」
「そこで三成さんに出会ったって事か」
何で知ってるの、と葉月はまた驚くが、すぐ舞が教えたと気付く。
「そうです。でも最初は三成様と知らずにいました」
「…誰だと思ってたの?」
舞が興味津々で聞く。