第13章 お遣い
「ここを曲がってまっすぐ、ですね」
一緒に歩く女中に道を確認しながら、三成の御殿へ向かう。
何故葉月が行くことになったのか。
忘れ物を届けに行くだけの事だが、若い女中達の中で自分が行く、と一騒ぎになったので、竹が葉月に頼み、中年の女中に付き添いと見張りを頼んだのだった。
「外を歩くの、久し振りです」
付き添いの女中にニコリとして、周りをきょろきょろと見回す。
「この辺りは武家屋敷なんですね?
市のあたりのおうちとは、大きさや作りが違いますね」
思った事を言っただけだが、悪く捉えれば、この当りを押さえておけば、武士たちは動けなくなる、と言っているにも等しい。
付き添いの女中は、冷静に葉月を観察していた。
しかしながら様子を見て、葉月が悪い方向に目線が動いているようには思えないのだった。
「ここが三成様の御殿です」
秀吉の御殿と比べると小さめだが、隅々まで手入れの行き届いた、暮らしやすそうな落ち着いた雰囲気の御殿に思えた。
「ごめんくださいー」
大きめの声で挨拶すると、すぐに女中らしき若いおんなが出て来た。
「なんでしょうか?」