第91章 ここは戦国
「そうなさい、じゃあ一度おやすみしましょう」
休憩の言葉にわーいと喜ぶ葉月。
前日作っておいた焼き菓子を食べましょう、と支度して、竹と二人でお茶を飲む。
「竹様、武家の娘さんってこんなにいろんな事を学ぶんですね」
「だから武家なんですよ。おのこだったらこういう事はやりませんけれど、切腹の仕方を学びますよ」
「せ…せっぷく…」
飲みかけのお茶をごくりと飲み込む葉月。
そうだ、ここは戦国時代なんだ。
ふとした拍子に忘れるようにしている戦国時代である事を思い出す。
戦いの時代、いつもどこかで戦が起きている、そんな時代。
「この安土も今は平和ですけれど、いつ戦がおきてもおかしくありませんよ」
「えっ!」
更に驚く事を竹から言われる葉月。
「何を驚くのです。安土は織田信長様の管轄。
領土は広げていらっしゃいますけれど、虎視眈々と敵が狙ってるんですよ。
明日戦が起きて、武将様やおとこ達が出陣していってもおかしくないのです」
時代劇じゃあるまいし明日戦が起こるなんて、まさかと思う葉月だった。