第91章 ここは戦国
竹からの厳しい行儀作法の教えは毎日続く。
襖の開け閉めから始まって、今は花の活け方を習っていた。
「さーんーかーくー」
どうやってもうまく活けられない葉月は半分投げやりに声を上げる。
すると、竹から手厳しい声が掛かる。
「声は出さない!」
「もう、わかんないー」
駄々をこねる葉月に更に厳しくする竹。
一度こうなった時に優しくしたら、葉月が甘えてきたのを覚えているのだ。
だから甘やかしは禁物と、竹も我慢しながら指導する。
最後は相変わらずの涙目になって、何とか花を活けた。
「このバランスを覚えていれば良いのだけど…」
ぶつぶつ言う葉月に竹が眉をひそめる。
「ばら…?」
「いえいえ、何でもないです。でもお花活けるの本当に難しいです」
「花を活けると思うから難しいのです。その時の花を一番綺麗に飾ると思えば良いのです」
きっぱりと話す竹に、ふむと感心する葉月。
「成程、その時の花を一番綺麗に、ですね。わかりました、次はそうしてみます」