第88章 厳しい稽古
「竹様、よろしくお願いします」
丁寧に頭を下げる葉月。
挨拶から作法の勉強が始まっていた。
まず、現代から来た事から知らないだろうと、襖の開け閉めから教え込まれる。
「左手はこっち、右手はそこにかけて、膝ついて静かに開ける」
「は、い…」
「違う!左手もっと上よ。さっき教えたでしょう?」
竹の教育はなかなか厳しかった。
しかし覚えないと養女になれないし、三成の妻にもなれない。
「うううう…」
厳しい指導に涙目になりつつ、葉月はひとつひとつ作法の勉強を進めていく。
「…葉月さん、大丈夫ですか?」
秀吉の御殿にやってきた三成に心配させる程、憔悴した葉月の表情だった。
「…はぁ、あんまり、いえ…大丈夫、です…」
あはは、と疲れきった笑顔をつくる葉月に、三成はぎゅっと抱き締める。
「作法を覚えるのはそんなに大変ですか?だったらもう止めて構いませんよ?
私のところは作法にうるさい者はおりませんし…」
それを聞いてきっぱりと首を横に振る葉月。