第85章 お仕置き?
店を閉め、また明日と葉月は春と富弥に挨拶し、三成と帰って行った。
「…あの子の事、狙ってたのかい?」
見送る富弥に春が問い掛ける。
「まぁな。本人はわかってないが、あれだけ綺麗な娘はなかなかいないし、働き者だしな。
でも石田様も人間だな、さっき、俺が葉月と仲良くしてたのが気に入らなかったらしい。すごい嫉妬されたぜ?これから面白いから、からかって遊んでやろうかな」
「ちょっと、そういうの、店でやらないでちょうだい」
春は富弥のいたずらに困り顔で諭すが、富弥は三成のあの表情を見てから、葉月を奪った腹いせに、からかってやりたくなっていた。
一方、三成と葉月。
茶屋から離れたところで、三成がまた葉月を抱き締めていた。
「あの、三成様…?」
「…富弥とずいぶん仲が良くなったようですね?
先程肩のあたりを触られてましたね?」
「え…肩…ああ、ほこりがついていたので、払ってくれただけですよ?」
抱き締められたまま、葉月は答える。
「とにかく、富弥とはやたらと近寄らないでください」
「え、でも、茶屋の仕事で一緒ですから、仕方ないですよ?それに謝ってくれましたし…」
「謝ってくれたら誰とでも仲良くするのですね?
私は必要以上に仲良くして欲しくありません」