第84章 嫉妬?
一日一緒に働いてみて、春は富弥の思った以上の働きぶりに感心した。
「あんた、よく働くね。見込みあるよ」
店仕舞いしながら春は富弥に話し掛ける。
「そうですかい?」
富弥もすっかり慣れて、明るく答える。
「これなら十分葉月の代わりとして働けるよ」
「むしろ私以上だと思いますよ、春さん」
葉月も言う。
葉月に関わりを持つ者でどうだか、と杞憂したが、大きな拾い物だった、と春は思った。
人当たりも良く、見た目もそれほど悪くない富弥に、町娘達がちょっと騒いでいたのを思い出す。
町娘達から人気が出たら、更に売り上げがあがるかしらね。
春はしっかり皮算用をした。
三成が迎えに来ると、葉月と富弥は仲良さ気に話していた。
少し離れたところから見えたのは、富弥が葉月の肩に触れてなにやらしているところだった。
葉月に触れるなんて、と三成は歩く速度を上げ、声を掛けた。
「葉月さん」