第83章 餡作り
分かれ道へ来て、三成は葉月に言う。
「今日から富弥が手伝いにきます。何もしないはずですが、もし何かされたら必ず私に言ってくださいね?約束ですよ?」
「はい、わかりました。三成様もお仕事がんばってくださいね」
では、と二人はそれぞれの道を行く。
果たして葉月が茶屋へ行くと、既に富弥は来ていて、外を掃除していた。
「…おはようございます」
葉月はおずおずと挨拶すると、葉月に気付いた富弥は箒を持ったまま、葉月の側に来て謝罪した。
「葉月、その…先日は悪かったよ…
おまえ、豊臣様の養女になって、石田様に輿入れするって聞いたよ。
もうそうなると、俺が付け入る隙間全くないから、俺はおまえを諦める。
これからは俺がここをおまえの代わりに手伝うから、おまえの菓子を俺に教えてくれ」
「…はい、勿論です。富弥さん、しっかりやってくださいね」
笑顔は固いものの、少し笑って葉月は話した。
「わかってるよ」
富弥も苦笑して、とりあえず二人は和解出来た。
富弥は驚いた。
茶屋の菓子作りなぞ、と高をくくっていたのだが、思った以上に大変な作業だった。
「ほら、腰が入ってません!」