第82章 好きの温度
二人で部屋で朝餉を摂る。
先程までいちゃついていたとは思えない程、すっきりした表情の三成に、自分だけ恋する顔を残すような想いでずるいな、と葉月は思いながら、箸を動かす。
「今日も迎えに行きますから、それまで茶屋から出てはいけませんよ?」
「え…今日も迎えに来てくださるのですか?」
驚いて箸が止まる葉月。
「勿論です。毎日迎えに行きますよ」
「でも、それでは、三成様の負担になります…お仕事の後でお疲れでしょうし…」
「疲れ…そうですね、でも葉月さんを抱いて、癒されますから大丈夫ですよ」
「…抱いて、癒されるって普通、反対じゃあ…」
箸を持ったまま赤くなる葉月を、にこにこして見つめる三成に、葉月はどうして良いかわからなくなる。
『もう、天然すぎて、武将様なのに可愛すぎる…ほんと、負ける…』
支度をして、二人は御殿を出る。
また家臣や女中達がずらりと見送ってくれた。
「葉月様、今日もこちらですか?」
「え、えーと?」
突然今日の事を聞かれ答えられずにいると、間髪入れず三成が答える。