第77章 御殿到着
「三成様、おめでとうございます!!」
全員で頭を下げて祝ってくれるが、驚いた葉月は瞬時に三成の後ろに隠れて、顔をちょっと覗かせているだけだった。
年配の家臣は泣かんばかりに大喜びしていた。
「三成様、よろしゅうございました…奥方がいらっしゃれば、後ろの髪の毛の跳ねも直していただけますでしょう…」
「どちらでこんな美しいかたを見初められたのですか?」
「豊臣様の養女になられる、という事ですが、今はどういう御身分ですか?」
「お得意は何ですか?」
矢継ぎ早に家臣や女中から質問されて、益々三成の後ろから出にくくなるが、三成に促されて三成の横に並び直し、質問にしどろもどろしながらも丁寧に一つずつ答えていった。
「それにしても、三成様、ようございましたなぁ」
年配の家臣が感極まって喜ぶ。
「大袈裟ですよ。まだ、すぐに嫁いでこられる訳ではありませんし」
「いえいえ、大袈裟だなんて…!三成様のご性格からして、早々嫁御を娶られる事が考えられずにおりましたから…私の命のあるうちに婚儀が決まりましてようございました」
「あの、いえ、だから、まだ婚儀は決まってませんけれど…」
葉月も婚儀がまだである事を強調するが、年配の家臣の耳には入っていないようだった。