第75章 話し合う
小さい声で葉月は答え、竹は瞬時に、先日の葉月の怖い事とは、富弥という男に襲われかけたのか、と理解した。
それがきっかけで二人がくっついたのだから、かえって良い方向に転がった事に竹は内心驚いていた。
それから、竹と春が幼馴染だった事などを話し、その間に葉月は片付けを終える。
竹は三成の家臣に伴われ、秀吉の御殿へ戻る。
「お春ちゃん、またこちらに来るわね」
「是非そうして、待ってるね」
「竹様、今日はありがとうございました…竹様をよろしくお願いします」
葉月は竹に礼を言い、三成の家臣に竹をお願いした。
家臣は、かしこまりました、と頭を下げた。
そして三成と葉月も三成の御殿へ行く。
「春さん、おやすみなさい」
「ああ、おやすみ。まぁあんまり休めないだろうね」
にやりと春にされ、葉月は意味がわかって、途端に赤くなった。
三成に促され、葉月は茶屋を後にする。
二人で並んで手をつないで歩く後ろ姿を春は見送る。
「おやおや、あの様子じゃあ、もう夫婦でもおかしくないねぇ」
後ろ姿を見て、春はクスリと微笑んだ。