第75章 話し合う
三成が二人の近くに座り、家臣は入口近くの離れた席に座った。
それを見計らって、葉月は二人にお茶と羊羹を出した。
「三成様、こちらにお話ししたのですが、葉月さん並みに働ける人でないと、なかなか新しい人は難しいみたいです」
竹が済まなさそうに言うと、三成はにこにこしながら言った。
「それですが、代わりの人が見つかりました」
「え…もう、ですか!?」
春と竹、それに奥で片付けをしていた葉月も、その発言を聞いて奥から出てきた。
「富弥という、よくこちらに甘味を食べにきていた男です」
富弥の名前を聞いた瞬間、葉月の顔が青ざめる。
その顔を見ながらも三成は続ける。
「彼の者は、家が料理屋で一通りの事は出来るとの事です。
また次男なので店に立ち、後を継ぐのは兄なので、本人はくすぶってます。
こちらの甘味が好きだというので、それならば葉月さんの後任として、茶屋で働いてはどうかと提案し、本人が受け入れました。
早速明日からここに参りますよ」
ふる、と震えそうな葉月に穏やかに伝える。
「勿論、彼の者には葉月さんは私のもので、今後秀吉様の養女となり、豊臣の姫として私のところへ嫁ぐ事は伝えてますので、おかしい事はしないでしょう」
「…わかりました」