第75章 話し合う
店仕舞いの頃になり、三成は一人の家臣を連れて茶屋へ向かった。
到着する頃、葉月が外の片付けをしている姿が眼に入る。
あのように動く姿を見られるのも長くはないんだな、と三成は思い、目を細めて働く葉月の姿を見つめる。
近寄ってきた三成と家臣の姿に気が付くと、葉月はぺこりと頭を下げた。
「おつかれさまです」
「おつかれさまです、葉月さん、良い話しを持ってきましたよ」
「良い話し?」
「ええ、こちらの店主さんはいらっしゃいますか?」
「あ、はい、今、竹様とお話しなさってて…お待ちください」
そう言って中へ葉月は入り、すぐ出てきた。
「お待たせしました、どうぞ中にお入りください」
そう言って三成と家臣を中へ促した。
中へ入ると春と竹が楽しそうな表情をして、話しに盛り上がっていた。
「石田様、いらっしゃいませ。今日はご足労いただきましてありがとうございます」
春が三成に気が付いて、すぐ立ち上がり、丁寧に頭を下げる。
「三成様、おつかれさまでございます」
竹も立ち上がり、頭を下げた。
「ああ、いえ、お二人ともどうぞそのままで」