第74章 報告
「ほう…相手は何と言ったのだ?」
光秀も富弥の様子を聞く。
「はい、諦めて捕らえられるつもりのようでしたが、葉月さんの要望で捕らえないと聞いて、非常に驚いてました。
その代わりに葉月さんと茶屋に近づかないように伝え、更に私からも、葉月さんは私に嫁ぐ事になるので近寄らないようにと釘を刺しました」
「それで納得したのか?」
秀吉が膝を乗り出す。
「はい、ただ甘味が好きなようで、茶屋には行きたいという事で…それで私の提案を受け入れてもらいました」
「提案?」
秀吉と光秀が同時に聞く。
「はい、葉月さんの代わりに茶屋で働くという事です。
あの者の家は料理屋なので、最低限の事は出来るというのです。
それに次男という事で店は兄が継ぐため、本人は店に関わる事がありません。
だったら茶屋を葉月さんの代わりに手伝っては、と提案し受け入れました」
「…そうか…手伝いを見付けたか…」
呆気にとられる秀吉に、三成はにっこり微笑みながら言う。
「明日からあの者は茶屋に行きますし、これで茶屋の問題は片付きましたね。
ですから光秀様、秀吉様のお願いされました人も、付いていただかずに済みました」
そうか、と光秀も了承した。