第73章 富弥と話す
この店主の表情から、普段から富弥は何かやらかしているようだった。
しかし三成は、葉月の希望もあり、事を荒立てたくなかったので、内容をぼかして大人しいものにさせておいた。
富弥が店に顔を出し、三成の姿を見た瞬間、顔色を悪くさせた。
「富弥、石田様がおまえに話しがあるそうだ」
店主が富弥に苦虫をすりつぶしたような顔をして告げる。
「富弥さん、今、お話し良いですか?」
あくまで穏やかな三成に、頷くしか富弥は出来なかった。
奥の部屋へ案内され、二人は向き合って座り、即座に三成に茶が出された。
「私が何故貴方を尋ねたか、おわかりになりますか?」
三成は富弥の顔を見て話す。
「…俺を捕らえにきたんだろう?」
仏頂面をして富弥は言う。
「ほら、捕らえるなら捕らえてくれ、俺は逃げも隠れもしないから」
「…違います」
捕まえるなら捕まえろ、と構える富弥に、違う事を告げる三成。
そして三成は葉月の考えを告げる。