第72章 再会
「そうなると、なかなか葉月さんを手放せないという事ね。
これは難しい事になったわね…」
竹も春も両方で困ってしまった。
困っていてもどうにもならないので、春がとりあえず妥協案を出す。
「そうねぇ、とりあえず人を頼んでみるわ。その人が使えれば葉月を返せるけどねぇ。
ただ新しい人を教えて使えるようにするには日数もかかるから、早々すぐには葉月を渡す訳にはいかないのよねぇ」
「それはそうね。ただずっとという訳にはいかないから、ある程度出来る人が雇えるように、私も秀吉様にこちらの事は伝えましょう」
「お竹ちゃん、立派ねぇ、さすが女中頭だわ」
「やめてよ、お春ちゃん。お春ちゃんだってこのお店を立派に切り盛りしているんでしょう。
亡くなったご主人はきっと喜んでるわよ」
春と竹はお互い褒め合い、顔を見合わせてふふ、と笑った。
「葉月のおかげでお竹ちゃんと再会出来て嬉しいわ」
「本当ね、これもめぐり逢いって事かしらね」
結局話しははっきりまとまらず、しかしながら二人は偶然の再会に微笑みあった。