第71章 信玄、茶屋に来る
「おはようございます」
茶屋に到着し、春に挨拶する。
春は店の中を掃除していた。
「ああ、おはよう…葉月、休みの時に何かあった?」
「はい?」
「なんだか、うーん、雰囲気が二日前と違うわねぇ?」
「は、春さん、すごい…」
どうしてわかってしまうのか、葉月は三成と恋仲になった事を春に伝える。
「あら、まぁ、石田様と…そりゃすごいわねぇ。あの石田様とねぇ…」
「えーと、あのってどういう意味でしょう…」
戸惑う葉月に春は言う。
「そりゃあ、町娘たちに大人気の石田様って事よ。
あの容姿に穏やかな性格だから、側室になりたい娘は履いて捨てる程居るよ」
「そ、そうなんですね…」
何だかエライ人と恋仲になってしまったと再認識する葉月だった。
「ふーん、石田様、とねぇ…」
春はそう言ってそれ以上追及するのを止め、店の支度をするよう言い、葉月は急いで羊羹と団子作りを手伝うのだった。
前日休んだせいか、開店させてからお客が途切れる事なく訪れ、春も葉月もくるくるとよく動いて働いた。