第70章 城へ、茶屋へ
「舞様は最初は無理やり信長様に連れて行かされていたのです。
ところが見様見真似で看護のお手伝いをなさり、自ら兵の治療に当たって一人でも助けられるようになりたい、と家康様から知識を学ばれ、看護兵として働いていらっしゃいます」
「そうなのですか…えーと、私も看護を覚えて出兵したほうが良いですか?」
舞の事を聞いて、自分もそうしたほうが良いのか、と三成に聞く。
三成は驚く。
「葉月さん、それ、本気ですか?」
「本気、というか、聞いただけなのですけれど…必要なら、と思いまして」
首を傾げながら、本気で戸惑っている葉月だった。
「…それは、私が決める事ではありませんし、本当に必要な時は葉月さんにも出陣していただくかもしれませんね…
でもそうならないようにするのが、私の後方支援の仕事です」
三成ははっきり言い切った。
そして三成は安土城へ、葉月は茶屋へ分かれて行く。
「あ、葉月さん」
別れ際に声を掛けられ振り向くと、三成がすぐ後ろにいてきゅっと抱き締められる。
「また、夕刻に」
にっこり微笑まれ、軽く口付け、された。
「は、はい…」
三成のペースに巻き込まれているばかりの葉月だった。