第65章 真実を秀吉と三成に
秀吉はようやく得心がいったという表情をする。
三成はまゆを寄せて問うてきた。
「葉月さん、遠い未来から来た、という事ですよね?
と、言う事は、また未来へ戻るという事にはならないのですか?」
三成の疑問は最もだ。
葉月は三成の両手を握り、真剣な表情で言う。
「最初は戻りたかったですよ?
でも、三成様が側に居て下さるなら、戻る機会があっても戻りません」
その言葉を聞いて、三成は葉月を見つめ返す。
「勿論です、ずっと側にいますよ」
今度は三成が葉月の手をぎゅっと握る。
秀吉は、二人が、不思議な縁で時を超えた恋を結んだ事を認識する。
「それなら、葉月が未来から来た事については、帰らないという事で片付くな。
そういえば、行儀作法や菓子の作り方など、未来の人間は皆が知っているものなのか?」
秀吉がふと思った事を聞く。
「あ、いいえ…私は家が和菓子屋なので、和菓子の作り方を知っているんです。
両親がお店で働いているので、家の事は割りと幼い頃から手伝っていましたし。
あとお店のお菓子をお茶席で使っていただく事もあって、最低限の行儀作法などは親や祖父母から教えこまれました」
そういう事情か。
秀吉はそれを聞いて、葉月が妙にいろいろ知っている事に納得した。