第61章 真実を竹に
「本当です。ちょっと待ってください」
自分のカバンを手にし、その中身をごっそり出す。
「この素材にこのようなもの、この時代には無いでしょう?」
手帳やペンやスマートフォン、鍵やポーチの中の化粧品を見せる。
竹は目を見開き、出てきた鍵を手に取る。
「これは…」
「それは家の鍵です」
「こんな形の鍵は見た事がないわ…」
竹は驚きで息を呑む。
それから葉月は手帳を開いて、あるページを見せる。
そこには以前、友人達と撮ったプリクラが複数貼り付けてあった。
「ちょっとわかりにくいのですけれど、これも見てください」
「まぁ、人が!」
竹は驚きの声を上げる。
「いったい、これは…!」
「500年後ではこういう技術が出来ているんです」
他のものも竹に説明し、竹はそれを手に取り、いちいち驚愕する。
化粧品のポーチから出てきた淡いピンクやベージュの口紅を見て、紅といったら真っ赤なものという概念しかない竹は驚く。