第61章 真実を竹に
竹が不審な顔をして葉月に問う。
「葉月さん、これ、何ですか?」
「…本、です」
葉月は正直に答える。
「本ですか?こういう作りの本は見た事ないですけれど…」
いぶかし気な竹に葉月は向き直り、大きく息を吐くと話し出す。
「あの、信じられないでしょうけれど、それは未来の本です」
「未来、の、本?」
竹は小説をまじまじと見る。
「はい、約500年程後の時代の本です」
「500、年…?」
竹はまゆを寄せて葉月を見る。
「えーと、私はこの時代で生まれてきたのではなくて、約500年程後の時代の者なんです」
「…どういう事ですか?」
「私もわかりません。ある時、いきなり雷が私のいたところに落ちて、死んだと思いました。でも気がついたら死なずにこの時代に来てました」
「葉月さん、貴女、嘘をつくならもっと上手につきなさいな」
竹の目に詰問する色が宿る。