第59章 朝を迎えて
「竹様、布団も汚してしまいました…秀吉様に謝らないと…」
「ほほ、大丈夫ですよ、秀吉様はこんな事で怒るかたではございませんよ」
「そうですか?それなら良いのですが…ありがとう、ございます…」
竹は初々しい葉月の態度に微笑む。
葉月が下半身を拭くと、竹は背中を拭いてくれる。
「何から何まですみません…」
改めて葉月が礼を言う。
「昨日も言ったように、私には娘が居ないので、貴女が娘のように感じられるんです。
だから世話を焼くのが楽しいのよ。
秀吉様に奥方がいらっしゃれば良いのですが、あれだけ男前でもなかなかお相手は決まらないようで、私、じれじれと待っているんですよ」
竹の言い分につい、くすっと笑う葉月だった。
「さ、着物を着替えましょうか」
葉月はよろりと立ち上がり、襦袢も変えて、いつもの着物に着替える。
その間に、竹は汚れた布団を片付ける。
着替え終え、髪をくしけずり、くるりと髪の毛をかんざし一本で丸めて留めた。
髪の毛を整えるのとほぼ同時に、三成が湯殿から戻ってきた。
「葉月さん、入って良いですか?」
「はい、大丈夫です…」
湯殿で温まったのか、ほこほこした顔で三成が部屋に入ってきた。