第59章 朝を迎えて
秀吉が近寄らないように言っていたらしく、誰も部屋周辺の廊下を歩く音がしない。
「そろそろ起きましょうか。起き上がれますか?」
三成はゆっくりと葉月の半身を起こす手伝いをする。
葉月は起き上がった半身に、すぐ横でくちゃくちゃになっている襦袢を、とりあえず両腕を通すだけしておく。
「ちょっと誰かを呼んできますね」
三成は自分の着物をさっと着付けると、外へ出て、誰かを呼びに行った。
半身を起こすと、足の付け根周辺が痛むが、出血はもう止まっているようで、下半身に赤黒く初めての形跡がこびりついていた。
廊下を二人分の歩く音が聞こえ、すらりと襖が開き三成が竹を連れて来た。
「葉月さん、ちょっと待っていてね。三成様を湯殿に案内してきますから」
そう言って、竹は三成を湯殿に案内して行った。
しばらくして竹は湯桶と手拭を持って部屋へ戻ってきた。
「からだ、拭きましょうね。出血しているでしょう?」
「…竹様、なんでも知ってるんですね…」
葉月が赤くなって布団をめくると、竹はほほ、と笑って言う。
「まぁ、女は必ず一度は通る道ですからね。
あらあら、だいぶあちこちこびりついてしまっている事」
手拭を桶の湯に漬けて絞り、葉月に拭くようにと渡してくれたので、襦袢をめくり、足の付け根から下を拭いていく。