第53章 秀吉と、政宗と
秀吉がそう言ってくれたので、三成はお願いします、と頭を下げる。
しかし、三成は同時に、葉月の、自分が悪かった、という言葉、そして不用意におとこを近づけた葉月の姿を思い出し、静かに怒りを覚える。
「…おい、どうした?三成?怖い顔して箸が止まってるぞ?」
「…何でもありません」
秀吉が急に箸を止めた三成を気に掛けるが、そのまま食事を続ける。
「秀吉、これ美味いな」
政宗がひょいと持ち上げた小皿には、れんこんの炒め煮。
「この味だと葉月が作ったと思うが?」
「よくわかったな、政宗。確かに葉月が作ったものだ。
昨日から膳に出てきて、御殿の中で評判だ」
秀吉が教えると政宗も感心する。
「作り方を聞いていって、俺も御殿で作るかな」
「わ、私も作ってみましょうか…」
負けじと発した三成の言葉に、秀吉と政宗は目をぱちくりさせて固まった…