第53章 秀吉と、政宗と
「秀吉様、三成です」
「お、三成か、入れ、入れ」
中から秀吉の声がし、三成は襖を開け中に入る。
中には秀吉だけでなく、政宗も居た。
「あ、政宗様もいらしてるのですね。お邪魔でしたらまた改めますが…」
「ああ、大丈夫だ。三成、丁度いい、夕餉一緒に摂っていけ」
秀吉はすぐ家臣を呼び、三成の分の夕餉も準備するよう伝えた。
政宗はちょうど良いところへ三成が登場したので、いろいろ聞きたくてならない。
秀吉達3人は、夕餉を摂りながら、今さっきの事を話す。
「おい、そうすると、葉月は襲った相手を捕らえなくて良い、という事なんだな」
「ずいぶん甘いやつだな。またそいつが襲ってくるだろうが」
秀吉と政宗は言う。
「ええ。でも自分に近づかなければ良いそうです…」
「そうしたら、その富弥という男はどうする?」
政宗が三成を見て聞く。
「葉月さんの意向を汲んで、とりあえず私が直接、その人と話しをして、葉月さんに近寄らないように伝えます。それでも近づくなら捕らえる必要があると伝えておけば、そうそう近寄らないかと思いますが」
「葉月がそういうなら、そうして様子を見てみるか。
その男には光秀の諜報を張りつかせておくよう頼んでおこう」