第51章 惑わせる
だから、あれだけ男の匂いが強く残っていたのも、今、理解する。
三成の心に黒い霧がかかる。
許せない。
そう思った瞬間、三成は抱きかかえたままの葉月に口付けをしていた。
「ん、ん…っ」
唇を離しても、三成は何度も葉月の唇に自分の唇を重ねる。
そのうち葉月の唇が少し開いたのに気付き、三成は自分の舌を葉月の唇へ侵入させ、舌で葉月の舌を絡めたり、口内を舐めつくす。
「ん…ふ…」
葉月の甘い吐息が漏れる。
ちゅっ、と音をたて、銀糸をひいて、二人の唇が離れる。
「み、みつ、な、りさま…」
抱きかかえられたままの葉月は、顔を赤くしながらも戸惑いを隠せない。
「貴女は…私を惑わせる…」
「は…?」
三成の言に意味がわからず問い返す葉月。
「…秀吉様の御殿まで、あと少しです」
三成は自分の言葉を説明せず、また歩き出し、秀吉の御殿へ到着する。