第49章 富弥(R15)
数日が過ぎ。
葉月はほぼ毎日のように、茶屋で羊羹作りに勤しんでいた。
「そろそろ一日休もうかね」
春が少しくたびれた様子で言う。
「そうですねぇ、ここのところ休みなしで働きましたよね」
葉月も少し疲れたような表情で言う。
「よし、じゃあ明日は休もう」
「え、良いんですか?また急に休みを決めて?」
週1休みという概念は無く、適当に休みたい時に休むを決める春に、いつも驚かされる。
「いいんだよ。いつもそうだろう?いい加減に慣れなさい」
「いや、慣れないですねぇ」
そんな会話をしつつ日が暮れる。
「気を付けて帰りなさいよ」
「はい、お疲れ様でした。また、明後日に来ますね」
「ああ、待ってるよ、おやすみ」
「おやすみなさい」
木刀を片手に持ち、少し暗くなった道を葉月は歩く。
街灯の当然無い、暗い道を歩くのは、最初はとても不安で怖かった。