第6章 明智光秀
ここに一緒にいる豊臣秀吉も明智光秀と同様だ。
なんか…習った歴史と違う、かも…?
そして、すぐに返事をしない葉月に眉をよせる光秀に気付き、急いで言う。
「あ、えーと、ですね。
信じてもらえるかわかりませんが、私、500年程未来から来たんです」
葉月は言ってみる。
無言になる秀吉と光秀。
そして呆れた様子で光秀が言う。
「おい、秀吉、この小娘、少し足りないとみえる。
嘘をつくにしても、もう少しまともな嘘はつけぬのか」
ああ、わかってもらえないか、と葉月は肩を落とす。
「…葉月と言ったな」
「は、はい…」
唐突に秀吉に名前を呼ばれ、ぴくりとからだを震わせる。
「…ずいぶん怖がらせてしまったな…仕方ないか。
光秀の提案を取ろう。さすがに牢屋に入れるには忍びない。
俺の御殿で預かることにする」
すると、光秀が腹の見えない笑みを浮かべて葉月に言う。
「小娘、おまえは運がいいな。
別名〈人たらし〉に捕まえられたから、これで済んでるのだと思え」
この境遇が悪いのか良いのか、すっかりわからなくなった。
だが、とりあえず、秀吉に頭を下げる。
「えーと、お世話になります。
出来ることはお手伝いさせていただきます」
「…おまえ、ずいぶんお人よしだな。
御殿に行ったところで、見張られる事はわかっているよな?」
こくりとうなずくが、秀吉からかえって心配される葉月だった。
そして城門のところで、まだやる事が残っているからと光秀は他所へ行き、葉月は秀吉と御殿へ向かう事となる。