第6章 明智光秀
「…は?」
光秀の提案に、何を言われたのか一瞬理解が出来ない秀吉。
「…何故俺の御殿なんだ?
提案したからには、おまえの御殿に置いて見張れば良いだろう」
間を置いて、秀吉が眉をひそめて言う。
「何故だ?おまえが連れてきた小娘だ。
牢に入れるのが不本意なら、おまえの御殿に置いて見張るのが筋だろう」
光秀が肩をすくめる。
二人のやり取りを見ていた葉月が、恐る恐る発言する。
「あ、あのーえーと、みつ、ひで、さま?」
恐縮した体の葉月を見て、光秀はああ、と言った顔をする。
「俺は明智光秀。
ところでおまえ、なんでそんな不思議な恰好をしている」
先に名前を聞いて葉月は驚く。
あけち、みつひで。
本能寺で織田信長を襲撃した人物だと、歴史で習った。
しかし、ここにその人物が立っている。
そういえば二人の年齢も、合ってない。
明智光秀は織田信長より年長だから、本能寺の時点で40歳を超えているはず。
けれどここに立つ明智光秀は20代かせいぜい30代前半の年齢に見える。