第45章 距離が近付く
そして、五度目の、唇と唇の逢瀬。
唇を離して、三成は葉月の顔を見て、息を飲む。
口付けだけでふわんと蕩けた表情をし、まるで自分を誘っているような表情。
「貴女は…私を煽っているのですか?」
「…え?あお、る…?」
「その顔…口付けだけでそんなに蕩けた顔をして…私を困らせるんですね」
「そ、そんなつもり、無いです…ごめんなさい」
蕩けた顔やら煽るやら言われても、自分には自覚が無い。
とりあえず拗ねたような表情をする三成に謝る。
三成は謝る葉月を、更に抱き寄せて言う。
「いえ…良いんです。その顔を見たのはこの分では私だけ、でしょうから。
それに私をもっと困らせてくれて良いんですよ?
貴女が私を困らせれば困らせる程、私は貴女に溺れる気がします」
「お…溺れたら死んじゃいます…」
どう答えて良いのかわからず、ありきたりな事を答える葉月。
くすくすとその答えに笑って、三成は葉月の目を覗き込む。
「…早く、私の事を好きになってください。そうしないと…」
「そうしないと?」