第45章 距離が近付く
さすがに三成は自分の御殿に葉月を連れて帰らず、秀吉の御殿へ送っていく。
二人の片手は指を絡めてつながれ、お祭りに行く前とは心の距離が縮まっていた。
歩きながら葉月は空を見上げる。
秋の星空は明るい星がなくて他の季節に比べるとぱっとしない。
「どうかしましたか?」
空を見上げながら歩く葉月に三成は問う。
「秋は明るい星がないので、なんだか物寂しいです」
「葉月さん…
物寂しいなんて言うと、私は貴女を自分の御殿へこのまま連れて行きたくなります。
良いですか?」
連れて行かれたらどうなるか、それぐらいは葉月にもわかる。
「それは、まだ…早い…です…」
自分の気持ちにはっきり気が付いてから。
そうでないとただの興味本位、からだ本位になってしまう…
「その…それは、ちゃんと自分の気持ちがわかってから、でお願いします…」
しどろもどろになって答えると、三成はくすっと笑って、道端であるにも関わらず葉月を抱き締める。
「貴女を待ってます。私には、貴女しか、目に入りませんから」
「は…はい…」
「良いお返事です」