第44章 三成の告白
「何か、今の人に言われたのですか?」
三成に問われ、葉月は富弥に言われた事を反芻していたが、今の状況に気付く。
「あ…何でもないん、です…」
複雑な表情をする葉月を、三成は引き寄せようとするが、そばに寄っただけで違う香りがするのに気が付く。
『これは…男の匂い…先程の富弥、という人の…?
こんなに強く香るなんて、何か、有った…?』
途端、もやもやとした感情が三成に沸き起こる。
「葉月さん、さっきの人と何かありましたね?
正直に教えてください。何があったのですか?」
強めの声で三成は言う。
「正直にって…どうして…」
三成に強く問われて、葉月は戸惑う。
「何故、三成様に、言わないと…いけないんですか?」
「貴女は私のものなんです」
「…は?」
いきなり訳のわからない事を言われ、当惑する葉月。
三成は言う。
-少し前、安土城にて、信長様が貴女を検分なさった。
-その時、信長様は、貴女を上杉の者では無いとおっしゃった。