第41章 離れる
町娘の一人にきっぱり引導を渡され、一人ぽつんと葉月は取り残された。
「…どうしよ。帰るしかないか」
くるりと回れ右をし、夜店が並ぶ道をとぼとぼ一人で戻る。
『結局何だったんだろう。だったら三成様、私とじゃなくてあの娘さん達と最初から来れば良かったじゃないの。なんか、肩透かしくらった気分…だなぁ』
帰路へ向かう葉月だったが、違う声に呼び止められた。
「貴女、栗入り羊羹の店の子、だよね」
呼び掛けた声の持ち主を、きょろきょろと見回して探す葉月。
「やぁ」
と声を掛けた人物が、葉月の前に現れた。
「あ、最近、毎日羊羹を食べに来てくださっているかた…」
すらりとした姿に長身。
粋な町人で、ちょっと遊び人風の雰囲気をまつらわせた男に思えた。
「俺は、富弥(とみや)。貴女の名前も聞いていいかい?」
「私ですか?葉月です」
「ふーん、葉月か。可愛い名前だね。んで、葉月は一人なの?」
「あ、いえ、人と一緒だったんですけど、その人、別な人達とここで会って、その人達と行ってしまわれたんです。だから私、もう帰ろうと思ってました」