第40章 秋祭り
何故か怒ったような三成の口調に、謝る葉月だった。
「…良いです、これなら迷子になりませんからね」
腰にしっかり腕を回されて、葉月はまた鼓動が大きく跳ね上がるのを感じる。
三成に、初めて触れられたとは言え、嫌な気持ちは不思議な程しなかった。
『迷子にならない為。迷子にならない為。これは迷子にならない為』
葉月は、迷子にならない為、腰に手が回されてるだけ、と言い聞かせる。
そして、二人が見て回る夜店で、風車を売る店があった。
「…風車…」
立ち止まる葉月に、三成も足を止め、二人で風車を見る。
葉月は、飾られたものの中から、一つの柄のものに目を留めた。
地が灰色で大きな格子柄の地味な、どうって事のない柄だった。
「気になりますか?」
三成に問われ、葉月は三成を見て答える。
「この色と柄って普段三成様がお召しの袴の柄、ですよね?」
「…ああ…」
自分の衣装の事は気にした事がなかったので、葉月が袴の格子柄の事を覚えていたのが驚きだった。
「これを」