第39章 三成のお迎え
「あ、そうですね。参りましょう、葉月さん」
はっ、と気が付いて三成は葉月に声を掛け、片手を差し出す。
「あの…?」
差し出された手が何なのかわからず、困惑する葉月。
竹がひそひそと教える。
「転ばないように手をつないでくださるんですよ」
「え…手をつな、ぐ…」
葉月は戦国時代で、男の人と手を繋ぐとは思わなかったが、竹が目でさぁと示すので、草履を履いて片手を三成に預けて、挨拶もした。
「え…と、今日はよろしくお願いします」
「こちらこそ、よろしくお願いします」
手を繋ぎながら三成もにっこり微笑む。
「いってらっしゃいませ」
竹が二人を見送ってくれた。
細身のからだに、思ったより大きな手の三成に、葉月は戸惑っていた。
三成はしっかりと葉月の手を握り、歩幅も合わせてゆっくりめに歩いてくれている。
気にしてなかったが、今になって、三成が男である事に、気付いた。