第38章 秋祭りへの支度
着付けの後、自分で出来ると言ったのだが、化粧も竹の手によってしてもらう。
紅をちょんと注して仕上げ、竹は満足げにうなずく。
「お綺麗ですよ、葉月さん」
「え…」
竹の言葉に半信半疑で鏡を覗く。
綺麗かどうかは自分ではわからないが、いつもと違う自分が居たのは確かだった。
「竹様、ありがとうございます」
竹に礼を言うと、竹からおかしな事を言われた。
「今日は帰ってこなくても良いんですよ」
「はい?」
目を瞬かせると竹が声をたてて笑った。
「あらあら、本人がわかってないって事ですか…!」
益々言われている事がわからない葉月だった。