第38章 秋祭りへの支度
完全にずれた考えの葉月に、竹は教える。
「何を言ってるんですか?三成様とお出掛けだから、おめかしするんですよ」
「え…そうなの…?」
呑気な葉月に竹は腕を引き、部屋へぐいぐい連れて行く。
「さ、とにかく早く着替えましょう。三成様がお喜びになりますよ」
「え…あ…??」
そして、また、竹にぐいぐい帯を締められ、着付けをされる。
今日の着物は、以前に信長に会う時のものとはまた違っており、地が小豆色に源氏香の文様が入った着物が用意されていた。
「あの、竹様?この着物、どなたが用意してくださってるんですか?」
ずっと思っていた疑問を竹に聞く。
「選んだのは私ですよ。お代は秀吉様ですけどね」
「着物のお代って高いんですか?
これで3着目ですよね?帯も新しいし、私に3着分も払えるかなぁ。
こちらに居候してるから、部屋代もいつかは払わないとって思うんですけど…」
お代の事を気にする葉月に、竹はあらあらと笑う。
「葉月さんはそのような事、気にしなくて良いのですよ」
「でも、私は、ただの、怪しいから連れてこられた、ただの居候ですし…」
「では秀吉様に直接お話しくださいませ。お代の事は竹ではわかりませぬ故」
「はぁ、そうします…」