第38章 秋祭りへの支度
「うん、楽しんでおいで」
事前に秀吉の御殿から人が来て、春は、依頼をされていた。
葉月はいつもの姿のままで出掛けようとするだろうけれど、支度があるので早めに戻して欲しい、と。
「なんだか、思ったより、御殿でも大切にされているみたいだねぇ」
春は依頼をしに来た人の事を思い出しながら、苦笑して店じまいした。
「ただいま、戻りました」
秀吉の御殿へ戻った事を告げる。
普段はもっと遅い時間で木刀を持ち歩いているし、疲れすぎてそのまま自室へ戻り褥へ倒れるように眠る。
今日は早く帰るのがわかっているので木刀は持って歩いてないし、疲れすぎてそのまま褥へ倒れ込む事もなかった。
「ああ、おかえりなさい、葉月さん、支度を手伝いましょう」
竹が顔を出し声を掛けた。
「支度って何ですか?」
何も聞いてないので、ぽかんとする葉月。
「聞いてますよ。三成様と秋祭りに行かれるのでしょう。
おめかしさせるように、と秀吉様から請け負ってますよ」
「え…お祭りなのに…おめかしって…そんなに格式の高いお祭りなの…?」