第35章 秋祭りに誘う
三成は淡いその心に、自身の感情の整理が追い付いてない。
舞は喉元まで、三成のもやもやの理由を言おうと思ったが、やはり飲み込む。
『自分で気が付かないと、三成くんのその感情が、言われてそう思いこむものか、本物かどうかわからなくなっちゃうよね…』
片付けを終えた葉月は、春へ声を掛け、栗の下処理をする為、中へ入って行った。
「葉月さん、中に入っちゃいましたね」
羊羹をもぐもぐしながら三成は舞に言うので、思い切って舞は言ってみた。
「あの、三成くん?そんなに葉月さんが気になるなら、逢瀬に誘ってみたら?
ほら、もうすぐ秋祭りもあるでしょう?」
「…私は葉月さんが気になっているのでしょうか?」
真面目な顔をして三成は舞に問う。
「えっ…」
あんまり真面目に質問されて、舞はかえって戸惑う。
「舞様がそうおっしゃってくださるなら、秋祭りにお誘いしてみましょう。
けれどあんなにお忙しそうで、一緒に出掛けてくださいますでしょうか?」
更に真面目な顔をして考え込む三成に、舞は言ってみる。
「考えるより誘ってみたらどうかな?」
「…そうですね」
すると、三成は立ち上がり、茶屋の中へ足を運び、舞は慌てて追った。
「葉月さん」